ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.2(2007/05/19〜20) E
【5月20日(日) 強風と濃霧の朝】
位ヶ原山荘 | 強風と濃霧 |
翌日の5月20日は、昨日から続けて吹き抜ける強風と濃霧が朝を迎えます。そして、その風に乗って飛んでくる氷の粒が顔に当たるところも昨日と変わりありません。
積雪凍結 − 春スキーバスは運休 |
位ヶ原山荘前の道路は、ご覧のように積雪凍結です。したがって、春スキーバスは昨日に引き続き運休です。
したがって、今日、屋根板から位ヶ原へ向うのは、山荘に宿泊した方々のみ。こちらの親子三人も出発です。今日は風が強く、ザックの子供さんは、頭からすっぽりとザックカバーに覆われ、足だけニョコッと出しています。これだと、強風に怖がることなく、安心です。
今日は富士見岳に行きます |
こちらの方々も位ヶ原山荘から出発です。今日は富士見岳まで登り、そこから屋根板(鶴ヶ沢)を滑り、位ヶ原からツアーコースに向うルートを取るとのことです。富士見岳からの斜面(鶴ヶ沢)の斜面は、一気滑り降りることができ、おそらく気がつくと、位置的には宝徳霊神のバス停よりも下まで滑ってしまうことと思います。したがって、スキーヤーの気持ちとしては、おそらく途中で止まることなく、下まで滑ってそこから登り返して位ヶ原に向うことだと思います。
富士見岳からの斜面は時にアイスバーンに近いときがありますので、状況によっては注意が必要です。
【屋根板は冬化粧】
10時前にはきれいに晴れ渡る | 木々も雪化粧し白銀の世界 |
明け方は強風と濃霧に包まれていましたが、10時前にはご覧のようにきれいな青空が戻ってきました。昨日の降雪で春のくすんだ雪はきれいな状態に戻っています。よく「白銀の世界」という表現がありますが、山肌の雪が白いだけでなく、自生する木々が右の画像のように雪化粧しているところが、春山で雪だけ白い状態との大きな違いかと思います。
空の青さが一際輝きを見せる |
空気が乾燥してきたためか、空の青さが一際輝きを見せています。山麓や都会の青空でもその日その日によって、同じ青色ではないと思います。ノリクラにおいても同様です。特にその日の天候が上り坂なのか下り坂なのにによって、大きな差があります。特に写真撮影において、空の青さは大きなファクターとなります。
ダケカンバの枝一本一本にきれいに着雪 |
先ほど申し上げたように今日の屋根板は白銀の世界。この付近は秋になると紅葉のスポットとして知られるところ。標高2400〜2500メートルのこの付近の紅葉はダケカンバの黄色がメインで、シラビソ・オオシラビソの針葉樹の緑とのコントラストは見事なものです。
今日はそのダケカンバにびっしりと雪の粒が貼り付き、きれいな樹氷が出来上がっています。これだけきれいな樹氷は、なかなか見られないもので、しかも今回のように湿り気を含んだ雪が着雪しないと、なかなかここまでしっかりとしたものはできず、日が当たると融けてなくなってしまいますが、今回はお昼過ぎまでしっかりと残っているほどでした。
上空の強い風に激しく雲が流れる | 樹氷の重みで垂れ下がった枝がワサワサ揺れる |
朝の強風はなくなったものの、上空にはまだ強い風が吹きぬけます。時折、樹氷の重みで垂れ下がったダケカンバの枝がワサワサと揺れています。
風とともにバラバラと木の実のように落ちる |
揺らされた樹氷は、風とともにバラバラと落ちてきます。まるで、木の実が落ちてくるような感じです。しっかりと成長した樹氷から落ちてくる氷の塊は頭に当たると結構痛いものです。
15〜20センチの新雪が積もる |
屋根板周辺は15〜20センチの新雪が積もります。若干、重めの雪質ですが、5月中旬過ぎとは思えないほどの状態です。
昨日の足跡はすっかりなくなり、風紋ができかけている |
左の画像は宝徳霊神バス停付近から夏道を降りてくるところ。右側に雪の塊が列をなしているのがお分かりかと思います。これは、昨日のツボ足の跡。足跡そのものはすっかりとなくなり、右の画像のように周りにできた雪の塊に沿うように風紋ができています。
この風紋から右の画像の右下から左上にかけて風が流れている様子が伺え、昨日は北風が強かったことがわかります。
この光景だけで今日一日を十分楽しませてくれます。 |
この時期にこんな光景が見られるとは、思っても見ないことで、これだけで今日一日を十分楽しんだような感覚にさえさせてくれます。
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