ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.14(2007/08/11〜13) D

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(Update:2007/08/16)

 

【高山植物】

この夏空のもとで、高山植物も一番輝いた時期を迎えていることは間違いありません。開花している種類も分布している範囲も非常に多くなってきました。大雪渓エリアや肩の小屋へ向かう登山道沿いだけを取ってみても、畳平のお花畑に匹敵するくらいの状態です。

 

ミヤマダイコンソウ(花)

大雪渓エリアはお花畑と異なり、岩場が多いのが特徴です。したがって、岩場に咲く花の数も豊富。その一つがミヤマダイコンソウ。空に向かって長く花茎を伸ばしています。

 

大きな頂小葉と小さな側小葉の組み合わせ

ミヤマダイコンソウの葉には大きな特徴があり、茎の一番上にできる頂小葉は非常に大きく、茎の途中にできる側小葉は非常に小さいことがわかります。ですから、同じ黄色の花の高山植物でも、この組み合わせを見つけたらミヤマダイコンソウであることがわかります。

いたるところにミヤマキンバイ ミヤマキンバイ(花) − 梅花をそのまま黄色くし、三つ葉が特徴

大雪渓は一般的に雪田(せつでん)と呼ばれる雪が長く残るエリアがたくさんあるのが特徴で、このような場所では高山植物が群生していることがよく見られます。同じ雪田に適応するにしても、湿った場所から若干乾いた場所まで幅広く適応できる高山植物が群生を広げるともいえるかもしれません。

こちらのミヤマキンバイは比較的いろいろな場所で見つけることができる高山植物。開花してしまえば、キンバイ(金梅)というだけあって、梅の花をそのまま黄色くした様子はまず間違いようがないといってもよいでしょう。また大抵の場合、三つ葉になっていますので、花期以外でも簡単に見分けられると思います。この三つ葉は秋になるときれいな紅葉を見せてくれますので、その時期になったらまたご紹介いたします。

チングルマ(花)

こちらも雪田周辺に群生する高山植物の代表格のチングルマ。

よく見ると花の間に枝がたくさん出ています。花が終わって綿毛がすべて飛んだ秋になっても花茎はしっかりと残っていますので、おそらく昨年以前の花茎ではないかと思いますがそれを示す資料はまだ見つけられません。

 

チングルマ(果) 花柱のよじれが取れかかった稚児車は何日も持たない

こちらは「雪渓下部 U」のコーナーで紹介したチングルマのそう果。こいのぼりの矢車に似ているところから「稚児車」が変化してチングルマと呼ばれているようです。ですから花柱のねじれが取れかかったこの状態が一番チングルマという名前を象徴していると思います。

このねじれた状態は翌日には開ききってしまいます。大半は開ききった状態のチングルマを目にすることが多いかと思います。登山道沿いでもたくさんのチングルマが群生していますので、おそらくどこかでこのような「出来立ての稚児車」に出会うことができると思いますので、ちょっと探してみてはいかがでしょうか?

モミジカラマツ(花) 花がカラマツソウで葉がモミジ

こちら雪田のどちらかというと湿り気の多いところを好むモミジカラマツ。花がカラマツソウで、葉がモミジに似ているところから、このように呼ばれています。夏がピークを迎えた頃に咲き始め、秋になると黄色から橙色に紅葉しますが、単に枯れ葉状態に近いものもあって、きれいな紅葉に巡り会えたらちょっとうれしいものです。

ヒメクワガタカ か シナノヒメクワガタ

この状態だと、ヒメクワガタなのか、シナノヒメクワガタなのか区別できません。大抵の場合は、どちらか区別できる前にそこにクワガタがあることすらわからないことのほうが多いほど地味な高山植物です。いずれにせよ、果ができれば判別できますので、その時期になったらまたご紹介いたします。

ジムカデ(花)

岩場の水はけのよい岩の隙間にはごらんのようにジムカデがいっぱい群生しています。

頭を垂れてこちらを警戒している様子がムカデのよう

頭を垂れた様子がまるでムカデがこちらを警戒しているように見えます。大雪渓エリアではここまで群生している様子はあまり見かけませんが、大きな岩の縦に長く切れ込んだような部分でよく見かけますので、そのような場所をポイントに絞ってみれば簡単に見つけることができます。

 

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