ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.11(2008/07/26〜27) @

Top-page > Index > Page: 1  2  3  4  5  6  7

(Update:2008/07/31)

 

【大雪渓】

7月最後のノリクラ雪渓カレンダーをお届けします。学校が夏休みに入ったものの、三連休の翌週ということもあり、いつもの週末とそれほど変わらない程度の人出でだったように感じます。

26日(土)は乗鞍高原では朝からきれいに晴れ上がる天候を見せましたが、大雪渓付近は濃霧に覆われます。しかし、その霧も次第に解消して、10時30分ごろからはきれいな青空が広がるようになります。それでも快晴とまでは行かず、西から絶えず流れる雲に日差しが見え隠れする状態が続きます。夏のモクモクとした雲が青空をゆっくりと流れて行き、雲量が多くても雲間に覗く青空はしっかりとしたコントラストをみせて、夕方近くになってきれいな夕日が差し込むまずまずの天候となりました。それでも大雪渓を訪れるスキーヤー・ボーダーは少なめで、いつもはアルペンレースの方よりもモーグラーの方が多い状態が今日に限っては逆転していたように感じます。

そして、27日(日)の乗鞍高原も朝からきれいな青空が広がります。ただ、山頂付近は昨日と同様に雲の帯がかかり、時間とともに天候は悪化の傾向をたどります。正午を過ぎると上空を雷鳴が響き渡り、雨粒が落ち始め、時折小雨となるものの、それ以上の天候の変化を見せない中、2時間ほどが経過します。時折雲間から青空が覗くこともあって、いつもならこのまま回復するかこの状態が夕方まで推移することが多いものの、14時30分ごろから激しい豪雨と強風が襲い掛かります。夏山特有の夕立であれば、30分程度でおさまりますが、今日はそれとは様子が異なり、2時間以上に渡って降り続き、大雪渓などの山頂付近だけでなく、山麓の乗鞍高原など全山に渡って激しい状態となりました。「梅雨明け十日」という言葉がありますが、今回の週末に限ってはその言葉にピッタリと当てはまる天候ではなかったように感じます。

大雪渓の積雪状態は雪渓下部から上部の全てのエリアで、一部を除いてほぼ昨年と同じ推移を見せています。

それではそんな二日間の様子をお伝えいたします。なお、27日(日)午後の悪天候により、畳平のお花畑の取材ができず、今回はその様子をお伝えすることができませんがご了承ください。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【7月26日(土)、観光センター】     【シャトルバス、車窓から】
Page-2 : 【雪渓下部 T】     【雪渓下部 U − モーグルコース】
Page-3 : 【雪渓下部 V】     【雪渓中段】
Page-4 : 【高山植物】     【雪渓上部 T】
Page-5 : 【雪渓上部 U − モーグルコース】     【肩の小屋付近】
Page-6 : 【7月27日(日)、朝は快晴】     【次第に雲が広がり始めます】
Page-7 : 【天候はどんどん悪化します】     【昨年の今ごろは?】      <編集後記>

  

 

【7月26日(土)、観光センター】

朝6時の観光センター駐車場。きれいな青空が広がっています。駐車場には50台ほどの車がやってきていますが、ご覧のとおり十分な空きスペースがあります。先週の三連休の混雑はありません。

 

稜線は絶えず雲の帯に包まれる

上空には青空が広がるものの、肝心のノリクラの稜線付近は北から南へ流れる雲の帯が絶えずかかっている状態。位ヶ原から上部は全く確認できません。この様子から大雪渓を含む山頂付近は濃霧に覆われていることが容易に想像できます。

また、今回とは逆に乗鞍高原の上空が低い雲にすっぽりと覆われている場合は山頂付近はその雲の上になることもあり、その場合は、大雪渓付近からは、青空のもと、山麓に広がるきれいな雲海を楽しむことができるわけです。

 

タクシーは早朝から準備万端 天候が多少悪くてもそれなりに楽しまなきゃ〜

シャトルバスは6時から運行が始まりますが、観光センター駐車場の一角に設けられたタクシー乗り場では運転手の方々が早朝から乗車される方々がやってくるのを待っています。雲に隠れたノリクラの稜線を見て、「上高地に7回もやってきて一度も晴れた日にめぐり合ったことのないお客さんを乗せたことがあります。でも、そのお客さんは『今日は晴れるだろうと毎回期待しながらやってくるんです。しかし、今回も青空に巡り会えなくても、次に楽しみを繋げて行くことができるから、全然平気なんです』というんです。だから、天候が多少悪くても引き返さずにそれなりに楽しむことも覚えなきゃ〜」と、おっしゃっています。

特にノリクラでは山麓と山頂では大きく天候が異なることがよくあります。善しにせよ悪しきせよ、自分の足で現地に出向いてみないと本当の状況は分かりません。

 

こちらは観光センター内の食堂。

 

ハイシーズンは食堂も早朝5時30分から営業開始

先週もお伝えしたように観光センターの売店は週末を中心に早朝5時30分から営業を開始しますが、その隣の食堂も早朝5時30分から始まります。テラスからノリクラの山頂を眺めながら朝食をとったりコーヒーをいただくのは贅沢なひとときともいえます。

 

例年通りおにぎりの販売も開始されています

その5時30分から営業を開始している売店では、おにぎりの販売も例年通り始まっています。

 

6時55分。7時のシャトルバス到着の5分前ですが、乗車しようとされる方はご覧のようにまばら。

 

7時便が到着

今日も雪渓に向かうスキーヤーや山頂を目指す登山の方々がシャトルバスに乗り込みます。平地ならこの時期帯ともなれば、セミの泣き声が激しく鼓膜に突き刺さり、その音だけで汗ばんできますが、乗鞍高原ではもう少し日が高くならないと耳にすることはできません。

 

それでは大雪渓に向けて出発です。

 

【シャトルバス、車窓から】

青空に雲が行き交う 29号カーブ付近 − 山頂の様子は雲に隠されます

今日の天候はきれいな青空に絶えず雲が行き交う様子が見られる状態が続きますが、晴れ間の多かった乗鞍高原でも徐々に雲が多くなってきます。三本滝ゲートを過ぎて魔利支天バス停からつづら折れを進んだ29号カーブ付近に差し掛かると山頂付近の様子がはっきり確認できるスポットにやってきますが、ご覧のように先ほど以上に雲が多くなり、その姿は全く確認できません。

 

位ヶ原山荘 雲が低くなり始めます

そして位ヶ原山荘付近までやってくると、上空は完全に雲に覆われるようになり、右の画像のようにその雲が低くなり始めます。

 

7号カーブ − 高天ヶ原はすっぽりと覆われます

位ヶ原のお花畑の広がる7号カーブからは目の前に確認できても良いはずの高天ヶ原がすっぽり覆われます。この付近はダケカンバ・ウラジロナナカマドなど広葉樹がハイマツ帯の中を点在していて、新緑に包まれた6月頃は深い緑のハイマツと若い緑のコントラストがきれいなエリアでしたが、その若葉もしっかりとした緑を見せるようになり、ハイマツと遜色ない色合いになってきています。

 

4号カーブから霧の中 大雪渓に到着

そして、大雪渓手前の4号カーブ付近に差し掛かると目の前を霧が立ちはだかるようになり、大雪渓入口にある肩の小屋口バス停に到着するとご覧のように視界が奪われます。

 

8時、大雪渓全体が霧に覆われる

7時便が肩の小屋口バス停に到着した8時頃はご覧のように大雪渓全体が霧に覆われ、そんな中を雪渓上部に向かうスキーヤーが板を担いで行きます。雪渓の様子はいつものように後述いたしますが、スキーヤー専用道の雪解けがかなり進んでいますので、スニーカーや登山靴のほうが歩きやすいでしょう。また、その時期ともなれば、周囲には高山植物が多くなってきますので、足元の植物にも配慮が必要となってきます。

 

9時次第に霧が抜け始めます

そして、1時間後の8時便が肩の小屋口バス停に到着した9時を回り始めると次第に霧が抜けて行きます。

 

しっかりと日差しが差し込んで日焼け止め

日差しもしっかりと差し込むようになると、ダイレクトに降り注ぐ太陽の光は暑さ寒さにかかわらずかなり強いもの。暑くないからと油断すると大変なことになりますので、しっかりと日焼け対策をしてください。

霧の動きは天候の変化の一つの要因。都会ではほとんど見られない霧もここではごく普通に見られる気象現象で、その動きから空気の流れを知ることができ、天候の急変を察知するバロメーターともなります。 Next

 

Next>>

Copyright (C)   乗鞍香辛料監視委員会