ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.10(2016/07/16〜17) E

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(Update:2016/07/21)

 

【畳平、お花畑】

畳平 − 濃霧・強風・横殴りの雨 待機状態

二日目の7月17日(日)は、濃霧・強風・横殴りの雨で、畳平は視界が50メートル以下とひどく、訪れた観光客・登山客の方々も一旦ターミナルで待機状態。

 

売店では暖かいものを求める姿が

気温は12℃で、館内はストーブが赤々と燃えています。そして、売店では、豚汁・コーヒーなど暖かい飲み物を求める方々がたくさんお越しになっていました。

これから本格的な夏を迎えますが、標高2702メートルの畳平では、日中でも20℃を超える日は少なく、館内にはクーラーはありません(←必要ありません)。

 

畳平お花畑

ここからはいつものようにお花畑の様子をお伝えします。

 

ハクサンイチゲは終了し、同じような白い花が咲き始める モミジカラマツ

ハクサンイチゲはすでに終了しましたが、同じように白い花が咲いています...よく見るとこれはモミジカラマツ。夏が最盛期に入ると咲き始めます。ミヤマクロユリは咲き始めてから1〜2週間が経過しますが、まだ、見頃が続いています。

 

ミツバオウレン ヨツバシオガマ

ハクサンイチゲの大群生が広がっていた時期は、ハクサンイチゲ一辺倒でしたが、それが終わると、高山植物の種類が一気に増えます。

左はミツバオウレン。コガネイチゴと見間違えることでよく知られていますが、葉が必ず三つ葉ですので容易に見分けられると思います。この画像を見る限り、「確かに三つ葉がいっぱいあって、ミツバオウレンだ!」と、判断してしまいますが、この三つ葉はミヤマキンバイのもの...よく見ると、画像には黄色いミヤマキンバイが咲いていて、花が終わったものが多数みられます。実際のミツバオウレンの葉はその下にあって目立ちません。

右はヨツバシオガマ。「葉まで美しい」というのが名前の由来...「ヨツバ」は四葉なんですが、「葉まで美しい」がどうして「シオガマ」に変身するのか...「シオガマ」は海で塩づくりに使う「塩釜」のこと。塩釜は浜で使うものだから「浜で美しい」が変化して「葉まで美しい」となったといわれいますが、想像力の乏しい現代人にとっては、ちょっと飛躍し過ぎに感じられる由来です。

 

さらに進んで遊歩道分岐点。

 

黄色の群生 ミヤマキンポウゲ

遊歩道周辺を黄色く染めるのはミヤマキンポウゲ。少し前まではミヤマキンバイが同じように黄色く咲き誇っていましたが、ハクサンイチゲの大群生の時期と重なってちょっと目立たない存在でしたが、ハクサンイチゲが終わるタイミングでミヤマキンポウゲの群生が始まりました。

ただ、いろいろな高山植物の群生が見られる中、畳平お花畑での群生の規模としては、ハクサンイチゲが一番でしょう。

 

こちらでも白い群生が ハクサンボウフウ

入口付近ではモミジカラマツが白い群生を作っていましたが、こちらではハクサンボウフウがその役を担っています。ツキノワグマの好物といわれ、これから熊の出没が多くなるのはハクサンボウフウなど高山植物を求めにやってくるからです。ただ、今年はすでに6月から目撃件数が多く、今後さらに多くなるのかもしれません。

 

ミヤマクロユリ 実ができ始める

そして、遊歩道の奥の方まで進むと、ミヤマクロユリの群生が残っています。しかし、そろそろ花期は終わりになり、一部では実ができ始めてきました。

 

クロユリの葉は車状(輪生)

多くのゆりは互生(オニユリ) クルマユリは数少ない輪生

ユリの仲間は葉が交互左右につく互生が大半で、クロユリのように放射状につく輪生は珍しい存在。なお、クルマユリはその名の通り、葉が輪生になっているところからそのように呼ばれています。

 

クロユリが終わるとシーズン終了か?

お花畑の奥の方はミヤマクロユリがなくなってしまうと、高山植物の季節が終わってしまうのかというと、そうではなさそう...

 

すでに次の花がスタンバイ − ミヤマアキノキリンソウ
=畳平お花畑は昨年より2週間程度早い状況=

ちゃんと次の高山植物が出番を控えています。こちらはミヤマアキノキリンソウ。つぼみがたくさん見られますので、次週末には開花していることともいます。

畳平お花畑の開花状況は、昨年より2週間程度早い状況がみられます。高山植物の季節はまだ続き、現時点が種類的に多様な時期を迎えています。ただし、今後は減少して行くと思われますので、お早目にお越しくださるようお願いいたします。

 

【昨年の今ごろは?】

2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.11(2015/07/18〜19) @

この週末は、20日(月)の海の日までお休みが取れれば三連休となり、夏休みに入る学校も多かったことと思います。これからは家族連れの方々も多くなり、サマーシーズンのピークを迎える時期になります。しかし、16日〜17日に四国・中国地方を縦断した台風11号が、週末にかけてゆっくりと日本海を通過した影響が少なからず残ってしまいました。また、梅雨明けが19日に関東甲信で、20日には東海地方で発表され、取材日の18〜19日は生憎の天候だったものの、海の日の20日は梅雨明けらしい青空に恵まれました。

7月18日(土)は、朝から雨。三連休初日だというのに、観光センター前駐車場にお越しのマイカーは10台しかなく、週末とは思えないひっそりとした状況。乗鞍高原ではそれほどの悪天候ではなかったものの、位ヶ原付近からは風雨が強くなり、大雪渓付近はさらに視界も悪化。そのため、大雪渓に停車するシャトルバスは皆無で、今日の大雪渓の来場者はゼロ。午後になると風雨がさらに強くなり、天候は収まるどころか、時折、突風に近い暴風雨になります。今日は結局天候が回復しないまま、一日が終わってしましました。

7月19日(日)は、雲間に青空が広がる朝を迎えます。三連休中日とあって、観光センター前駐車場は6時の時点で125台ものマイカーがお越しになり、ほぼ満車状態。シャトルバスも久々ににぎわって、始発便3台、9時便は6台も運行され、その他の便もほぼ2台以上の運行でした。青空が多くなって天候の回復が期待されたものの、雲間に青空がのぞく状況だった大雪渓付近は9時ごろから霧雨になり、次第に濃霧と強雨へと天候悪化。大雪渓に訪れたスキーヤー・ボーダーの多くは午前中に撤退するほどひどい状況となりました。そして、剣ヶ峰登山の中継場所となっている肩の小屋では、風雨を避けるために多くの登山者が訪れていて、人の熱気で室内はムンムンとしている状態。午後になると天候はさらに悪化して、15時頃には暴風雨に近い状態になりました。乗鞍スカイラインは朝一番は自転車通行止めだったものの、7時15分には天候の回復で解除されましたが、上記のような天候悪化で12時に再び自転車通行止めにしました。

稜線付近の登山道の積雪は、先週の段階でなくなりました。また、大雪渓から肩の小屋への登山道は、下半分の区間で積雪が残っていて、上半分は登山道を歩くことができる状況になりました。ただし、今回のように悪天候の場合は、積雪区間が硬く凍っている状況で、今回もかなり慎重に歩く様子がみられました。

また、大雪渓の積雪状況は、この1週間の雪解けが少ない状況がみられ、これまで昨年より1〜2週間ほど早い雪解け状態でしたが、ほとんど場所で昨年と同じ積雪量になり、場所によっては昨年よりも多い状態に逆転しています。ただし、再氷結による氷柱が全面的にみられるようになってきましたので、ボールをセットされるグループは鍬などでのバーン整備が必要かと思います。

 

<編集後記>

「東海・関東甲信の梅雨明け平年値は7月21日ごろ」

気象庁では、梅雨入り・梅雨明けしたとみられる日を地方別に発表していて、東海地方と関東甲信地方の平年値は7月21日ごろです。太平洋高気圧が強まって梅雨前線を北に追いやられるような状況になって、向こう1週間の天気予報で、晴が連続するようになると、そろそろ梅雨明けとなり、九州から東海にかけては7月18日に梅雨明けしたとみられると発表されました。

さて、気象庁が発表する梅雨入り・梅雨明けの日は「○月○○日ごろ」とされていて、報道でも「気象庁は、○○地方で○月○○日に梅雨明けしたとみられると発表しました。」という言い回しで、スパッと宣言していません。実際、梅雨明けしてもパッとしない天候が続く年もあります。

梅雨入り・梅雨明けが非常に関心が高いものの、なかなかはっきりできないのは、それだけ不確定な要素が多いのでしょう。そのため、東海地方までは、梅雨明け発表があったものの、関東甲信は、冷たく湿った空気を持つオホーツク海高気圧の流れ込みが続くため、梅雨明けはしばらくお預け状態で、翌週に持ち越されるのではないかとのことです。

 

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