ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.6(2006/06/18) C

Top-page > Index > Page: 1  2  3  4  5  6  7  8  9

(Update:2006/06/22)

 

【高山植物】

キバナシャクナゲ(花)

つぼみができてから、ほぼ、1ヶ月近くが立ち、今週に入って、キバナシャクナゲが大きな花弁を開き始めました。開花の時期はほぼ、昨年並みです。

雄しべは10本

キバナシャクナゲは北海道、本州中部以北の高山帯に分布する常緑小低木。高さは10〜20センチ程度にしかならないのですが、花は高山植物の中でも大型の方に属し、10センチ程度にはなるかと思います。
「立てば石楠花(しゃくなげ)...」というだけあって、キバナシャクナゲは日差しを浴びると、きれいに透き通るクリーム色の美しい花弁(花冠)が特徴です。

雄しべは10本。画像中央に見える本数を数えてみてください。11本あるはずです。周りの雄しべと比べて、花糸(雄しべの棒の部分)の色が少し緑っぽいものが、中央にあるのがわかるかと思います。これが雌しべです。(雌しべですから、棒の部分は「花糸」ではなく「花柱」と呼びます)
一見、雌しべと雄しべの区別がつかず、雄しべが11本あるように見えますが、雌雄同株で、雌しべ1本、雄しべは10本が正解です。

ノリクラ全体で、キバナシャクナゲはつぼみができかけたものが大半で、開花はまだまだこれからのようです。

 

ミヤマタネツケバナ(花)

キバナシャクナゲとは対照的に、こちらは、見落としてしまいそうなほど小さなミヤマタネツケバナ。北海道と中部地方以北の高山帯の岩隙・砂礫地に自生する多年草。母種のタネツケバナ(種漬花)はモミを水につけて田植えの準備をする頃、あぜ道など水辺に咲くところから命名されているようです。

 

高さは5センチ。花弁(花びら)は5ミリほどしかありません。

画像ではクローズアップして撮影しますので、実際にどれくらい小さいのか、実感がつかめないかと思いますが、ご覧のように100円硬貨と比較すると、かなり小さいことがお分かりかと思います。よく似た花で、同じアブラナ科のイワハタザオというものがありますが、こちらは高さ10〜20センチともう少し大きく、「旗竿」というだけあって、茎がひょろひょろと長くアブラナ科の植物の特徴をあらわしています。
イワハタザオの開花も、もうそろそろ、乗鞍スカイライン沿いや県道乗鞍岳線沿いで見かけるようになるはずです。

 

ウラジロナナカマド(若芽)

小さな多年草の高山植物ばかりでなく、落葉樹の高山植物も少しずつ芽吹きはじめます。ウラジロナナカマドの新芽は、蛍光色のように明るい緑。暗いハイマツ帯を縁取るように、周りを少しずつ明るくしてくれます。

ウラジロナナカマドも、もう少しすると、新芽の真ん中にピンポン玉より少し暗いのつぼみの塊が見えてくるはずです。それを見つけるのも、また楽しいものです。

 

単なる枯れ枝ですが...

こちらは、どう見ても、単なる枯れ枝にしか見えないのですが...

 

ベニバナイチゴ(若芽)

枯れ枝から、新しい若葉が出始めています。葉の中心線からのこぎり状のギザギザした葉先に向かって、1本1本規則正しく伸びる葉脈は、イチゴの葉の特徴をあらわしています。この画像では少しわかりにくい状態ですが、その様子は出始めた若葉にも伺えます。もう少ししっかりと葉が出た段階で、もう一度、ご紹介したいと思います。

ベニバナイチゴは北海道西南部と中部地方の日本海側の亜高山帯〜高山帯に自生する落葉低木です。したがって、枯れ枝に見えるものは、樹木ですので、草本と異なって、翌年もその枝から新芽がでても不思議ではないですね。


【用語メモ】

※多年草(たねんそう) : 冬を越しても根が残り、毎年咲く草本。多年草に対して、発芽から結実までを一年で完結し、枯れてしまう草本を「一年草」という。多年草は毎年同じところに自生するが、一年草は種からの発芽のため、自生する場所が必ずしも一定しない。

※草本(そうほん) : 樹木(木本)に対して、草のことを総称したものいう。多年生の地上部を持つものが木本、一年生の地上部を持つが草本となる。草本の発芽は地下部分(根)から、地上に向かって芽吹きが行われるが、木本は多年生の地上部を持つため、「枯れ枝」から新しい芽吹きが見られる。

 

<<Back | Next>>

Copyright (C)   乗鞍香辛料監視委員会